余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
✰☆☆

萌が次に目を覚ましたとき、病院のベッドの上にいた。


自分がどうしてこんなところにいるのかわからなくて、頭の中は混乱している。


そんな中両親の顔を見つけてホッと胸をなでおろした。


「どうして……ここ……」


いつも通りしゃべったつもりだけれど、言葉が喉に詰まってしまった。


「部活中に倒れて運ばれてきたんだ」


両親から説明された話では、随分待っても鍵を返しにコない美術部のことが気になった先生が様子を見に来てくれて、そこで倒れている萌を発見したということだった。


「倒れた?」


思い出そうとしても白いモヤがかかったように記憶が曖昧だ。


でも、たしかに美術部で絵を描いていたことは覚えている。


もう少しで完成しそうだったし、調子が良かったことも。


だけどそれ以降の記憶が全くなかった。


「明日は学校を休んで、検査の続きをするからね」


検査の続きと聞いてなんとなく嫌な予感があった。


自分はそんなに悪いんだろうか?


そんな、予感が……。
< 26 / 274 >

この作品をシェア

pagetop