契約婚初夜、冷徹警視正の激愛が溢れて抗えない
1、見合い相手は警視正
「もう莉乃の誘惑に抗えないってことだ」
 彼が私の頭をガシッと掴んで熱く口づける。
 そんな風に情熱的にキスをされたのは初めてだった。
 彼に唇を奪われただけでおかしくなりそう。
「誘惑なんてしてません」
 唇が離れ、その切れ長二重の魅惑的な目をじっとりと見て抗議した。
「俺の前にいるだけで誘惑してる」
 どこか吹っ切れたような顔をしてフッと微笑する彼に、真顔で反論する。
「いつだってちゃんと服着てますよ」
「お前のその目が俺を誘うんだ。いいから黙ってろ」
 彼が私の唇にその長い人差し指を押し当て、ベッドサイドの照明をつけた。
「あ、脚は見ないで。……怪我の痕、醜いから見られたくない」
 動揺しながらお願いする私の頬に彼がそっと触れてくる。
「醜くなんてない。莉乃の身体は綺麗だよ」
 とても優しい目で告げられたけれど、反射的に「嘘」と否定した。
気休めなんていい。彼が醜い傷跡を目にしても私を抱けるとは思えない。
< 1 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop