契約婚初夜、冷徹警視正の激愛が溢れて抗えない
 私も柊吾さんの手を握り返して頭を下げたら、それまで存在感の薄かった父が覚悟を決めたような顔で彼に目を向けた。
「柊吾さん、娘をよろしく頼みます」
「ちょっ……おじさん!」
 慌てて抗議する和也の肩を、父が宥めるように叩いた。
「今まで結婚に消極的だった莉乃が望んだんだ。笑顔で送り出してやろう」
「お父さん……」
 父の言葉に胸が熱くなっていると、母も柊吾さんに優しく微笑んだ。
「柊吾さん、莉乃のことよろしくお願いします」
 感動でジーンとしている私の横で、柊吾さんが完璧な婚約者として振る舞う。
「お義父さん、お義母さん、ありがとうございます。莉乃さんを一生大事にします」
 父も母も彼の言葉を聞いて目を潤ませていたけれど、私は少し胸が痛んだ。
 契約結婚って知ったら、がっかりさせちゃうな、きっと。
 でも、私は契約結婚でもとっても幸せなの。許してね、お父さん、お母さん。
 心の中で父と母に謝っていたら、柊吾さんがスーツの内ポケットから書類を出して、テーブルの上に置いた。
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