契約婚初夜、冷徹警視正の激愛が溢れて抗えない
 私自身、もう二十七歳ということもあって、両親や親戚の叔父さんからよく見合い話を持ちかけられるから、お孫さんが乗り気になれない気持ちはわかる。
 これまで良家の子息と四回見合いをしたが、全部断られた。中学から大学まで女子校だったため、男性と話すのが苦手で退屈させてしまったというのもあるし、脚に大きな傷跡があるのも理由のひとつだと思う。
 小学六年生の時、ひとつ年下の幼馴染と近所の歩道を歩いていたら、工事中のビルの上から鉄筋が落下してきて、とっさに幼馴染をかばって脚を負傷したのだ。何度か手術をして歩けるようにはなったけど、たまに痛みがあってぎこちない動きになるし、膝裏からふくらはぎにかけて醜い手術痕も残っている。
「もう三十二よ。恋人もいないようだし、このままだと一生独身だわ。だからね、莉乃ちゃん、会うだけでもいいから、会ってくれない?」
 男性で三十二歳ならそう焦ることはないと思ったが、彼女が気を悪くしないようそのことには触れず遠回しに言った。
「あの……華子さん、でも私、脚もこんなですし、お孫さんをがっかりさせてしまうと思うんです」
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