「トリックオアトリート」ならぬ脅迫または溺愛! 〜和菓子屋の娘はハロウィンの夜に現れた龍に強引に娶られる〜
あっけにとられていると、恵武がごちそうさまでした、と萌々香に言った。
「すっごいおいしかったよ、お姉さん!」
顔中に笑みを浮かべて恵武は言った。その笑顔を見るだけで心に温かさがわいてくる。
「良かった」
父に教えてあげよう、と萌々香は思った。
職人気質の父は和菓子を作ることには一生懸命だがあまり店頭には立たない。だからお客さんの反応を直にみることはほぼない。
「もっとお菓子食べたい」
恵武が尊琉を見上げてねだる。
「ダメだ」
尊琉は即答した。
「えー」
「駄菓子屋さんならあっちにあるけど」
つい萌々香は口を挟んでしまった。
「行く!」
恵武が目を輝かせた。
余計なことを、と尊琉が萌々香を睨む。
萌々香は目をそらした。
「買うだけ、食べないから。いいでしょ?」
「ちょっとだけだぞ」
尊琉はそう言って立ち上がった。
「けっこう甘いのね」
「誰のせいだ」
萌々香はまた目をそらした。ふと笑いが込み上げてきて、ふふ、とこぼれる。
「笑うなよ」
不服そうに尊琉は呟いた。その様子がおかしくて、また笑ってしまった。
つられたように、尊琉が苦笑した。
駄菓子屋はそこからほど近くにあった。
洗いざらした紺色ののれんがかかっており、竹であんだ大きな四角いかごにお菓子が並べられている。
狭い店内なので、萌々香は店内に入らずに外で待つ。尊琉も萌々香の隣に立って待っていた。
「あら、萌々香ちゃん、久しぶり」
通りがかったおばさんが自転車を止めて萌々香に声をかけ、隣の青年に目を止める。
「デート中? お邪魔だったわね」
萌々香は顔をひきつらせてから、近くにいた恵武の手を取る。
「そうなんです、この子とデート中で」
「違うよ、若様とデート中なんだよ」
恵武は見事に否定して手を離した。
それだけならまだしも。
「すっごいおいしかったよ、お姉さん!」
顔中に笑みを浮かべて恵武は言った。その笑顔を見るだけで心に温かさがわいてくる。
「良かった」
父に教えてあげよう、と萌々香は思った。
職人気質の父は和菓子を作ることには一生懸命だがあまり店頭には立たない。だからお客さんの反応を直にみることはほぼない。
「もっとお菓子食べたい」
恵武が尊琉を見上げてねだる。
「ダメだ」
尊琉は即答した。
「えー」
「駄菓子屋さんならあっちにあるけど」
つい萌々香は口を挟んでしまった。
「行く!」
恵武が目を輝かせた。
余計なことを、と尊琉が萌々香を睨む。
萌々香は目をそらした。
「買うだけ、食べないから。いいでしょ?」
「ちょっとだけだぞ」
尊琉はそう言って立ち上がった。
「けっこう甘いのね」
「誰のせいだ」
萌々香はまた目をそらした。ふと笑いが込み上げてきて、ふふ、とこぼれる。
「笑うなよ」
不服そうに尊琉は呟いた。その様子がおかしくて、また笑ってしまった。
つられたように、尊琉が苦笑した。
駄菓子屋はそこからほど近くにあった。
洗いざらした紺色ののれんがかかっており、竹であんだ大きな四角いかごにお菓子が並べられている。
狭い店内なので、萌々香は店内に入らずに外で待つ。尊琉も萌々香の隣に立って待っていた。
「あら、萌々香ちゃん、久しぶり」
通りがかったおばさんが自転車を止めて萌々香に声をかけ、隣の青年に目を止める。
「デート中? お邪魔だったわね」
萌々香は顔をひきつらせてから、近くにいた恵武の手を取る。
「そうなんです、この子とデート中で」
「違うよ、若様とデート中なんだよ」
恵武は見事に否定して手を離した。
それだけならまだしも。