「トリックオアトリート」ならぬ脅迫または溺愛! 〜和菓子屋の娘はハロウィンの夜に現れた龍に強引に娶られる〜
 車が、どん! と激しく揺れた。
「地震か!?」
 三人が腰を浮かした。

 また車が、どん! と大きな音とともに揺れた。
 次の瞬間、轟音とともにスライドドアがひきちぎられた。

「な!?」
 男たちが愕然とそちらを見る。

 白銀の輪が掛かった月を背に、スーツの男が立っていた。
 尊琉だ。
 彼のまわりの大気が、炎のように青くゆらめく。

「昨日のやつか!」
 骸骨が萌々香を突き放し、彼女は頭を窓ガラスで打ってうめいた。
「俺の嫁に手を出してただで済むと思うなよ」
 尊琉の声は怒りに満ちていた。
 
「かわいがってやろうとしただけだ」
 骸骨は笑いながら車を降りて尊琉と対峙した。

「昨日は油断したが、今日はそうはいかねーよ」
 骸骨はナイフを出して尊琉に向ける。

「やめて!」
 萌々香は止めに行こうとするが、ミイラ男に抑えられ、ナイフがつきつけらている。

 馬のお面も降りてきて身構える。
「この女が大事なら、わかってるだろうな」
 
「小物だな。しょせんその程度」
 尊琉は顔をしかめて吐き捨てた。

「黙れ!」
 骸骨が尊琉に突進する。
 尊琉はひらりとかわし、あやまたず骸骨の盆の窪に手刀を叩き込んだ。

 男は声もなく地面に沈んだ。ぴくりとも動かなくなる。
「たわいもない」
 尊琉は侮蔑の目で骸骨を見下ろす。

「あ、あ……」
 馬のお面が尊琉を指さして震える。
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