初恋からの卒業


それにしてもいきなり公園に来て欲しいだなんて、こーちゃんどうしたんだろう。

もしかして、急にブランコにでも乗りたくなった?
いい大人が一人でブランコに乗るのは恥ずかしくて、それで私にも付き合って欲しいとか?

って、さすがにそんな訳ないか。


色々と考えながら少し早足で歩いていると、近所の公園に到着。

こーちゃんは、公園のベンチで座って待っていた。


「こーちゃん。ごめん、待った?」

「環奈。来てくれてありがとう」


私を見て、ホッとした表情を浮かべるこーちゃん。


「どうしたんだよ、環奈。そんな公園の入口で突っ立って」

「だって、こーちゃんには絵里さんが……」


彼には絵里さんという人がいるのに、二人きりで会うのはやっぱりなんだか悪い気がして。

私は、公園の入口で足が止まってしまったのだ。


「そっか。ごめんな、気にさせちゃって。絵里には、今日俺が環奈と会うってちゃんと話して来た。幼なじみとの十年前の約束を果たしたいって話したら、絵里も分かってくれたから」


十年前の、約束?


「だから、大丈夫だよ」


そう言って微笑むこーちゃんの手には、シャベルが握られている。


「え、シャベル?」


訳が分からず、つい首を傾けてしまう私。

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