だから聖女はいなくなった
神官たちは、すぐに南にあるテハーラの村へと向かった。ここは長閑な村である。
石造りの民家が建ち並び、どこから鈴の音が響いてくるし、牛の鳴き声が聞こえてくる。
家のない場所には、田畑と牧草地が広がっており、広い畑では子どもたちが駆け回っていて、ときおり子ども特有の甲高い賑やかな声が耳に入ってくる。
高い建物もなく、山もない。透き通るような空はどこまでも続いている。
ここだけ時間がゆっくりと過ぎているのではと勘違いしてしまうほど、穏やかな場所であった。
そんな田舎に神殿から三人も神官たちがやってくれば、誰だって驚く。
畑で遊んでいた子どもたちは、立て襟の平服と黒い上着に身を包む神官の姿を見つけると、興奮した様子で大人たちに知らせに走った。となれば、大人から大人へも話しが広がっていく。
長閑で建物が密集している村だから、あっという間にその話を知らない者はいなくなる。
神官がわざわざこのような田舎の村をなぜ訪れたのか――?
誰もがそう疑問に思いながらも、神官に問い質すような者はいない。
皆、遠くから三人の神官を眺めるだけ。
神官たちは迷うことなく、この村の代表である村長の屋敷へと足を向けていた。
石造りの民家が建ち並び、どこから鈴の音が響いてくるし、牛の鳴き声が聞こえてくる。
家のない場所には、田畑と牧草地が広がっており、広い畑では子どもたちが駆け回っていて、ときおり子ども特有の甲高い賑やかな声が耳に入ってくる。
高い建物もなく、山もない。透き通るような空はどこまでも続いている。
ここだけ時間がゆっくりと過ぎているのではと勘違いしてしまうほど、穏やかな場所であった。
そんな田舎に神殿から三人も神官たちがやってくれば、誰だって驚く。
畑で遊んでいた子どもたちは、立て襟の平服と黒い上着に身を包む神官の姿を見つけると、興奮した様子で大人たちに知らせに走った。となれば、大人から大人へも話しが広がっていく。
長閑で建物が密集している村だから、あっという間にその話を知らない者はいなくなる。
神官がわざわざこのような田舎の村をなぜ訪れたのか――?
誰もがそう疑問に思いながらも、神官に問い質すような者はいない。
皆、遠くから三人の神官を眺めるだけ。
神官たちは迷うことなく、この村の代表である村長の屋敷へと足を向けていた。