秘密の彼氏は、私にだけ甘すぎる
私の名前は、白井 理帆。高校2年生。
私が昼休みにやって来た “ ある場所 ”
それは、旧校舎にある空き教室だ。
私が教室に入ると、そこにはまだ誰もおらずシーンと静まり返っている。
私が持ってきたお昼ご飯を机に置き、座って待っていると。
──ガラガラ。
しばらくして、空き教室の扉が開く。
「ごめん。理帆、待った?」
そう言って周りを気にしながら教室へと入ってきたのは、先ほど中庭で女の子のことを冷たく振っていた長嶺くん。
走ってきたのだろうか。彼は肩で息をしている。
「ううん。全然待ってないよ。私も今来たところ」
「理帆は、ほんとに優しいね」
長嶺くんは目を細め、私の後ろの席へと座る。
「な、長嶺くん……」
彼がとても愛おしそうな目で私を見てくるものだから、思わず目を逸らしてしまいそうになる。
「会いたかったよ、理帆ちゃん」
「さっき、教室でも会ったでしょ?」
「そうだけど、話せなかったから。ああ、それにしても理帆ちゃん、今日もすっごく可愛い」
「やめてよ、長嶺くん」
直球でそんなことを言われると照れる。
「なんで? 俺は本当のことを言ってるだけだよ?」
長嶺くんは、ちゅっと私の額にキスを落とす。
「こんなにも可愛い理帆が、俺の彼女だなんて。俺は世界一の幸せ者だよ」
「それは、こっちのセリフだよ」
実は、我が校のサッカー部のエースで学年一のモテ男子・長嶺 翔也くんは私の彼氏なんです。