最強メイド！おぼっちゃまたちをお守りします！
第８話　体力テスト
　そんなこんなで早くも三週目に突入。
　脅迫文(きょうはくぶん)があったなんて思えないほど普通に過ごしているけれど、油断大敵(ゆだんたいてき)！
　契約発表のパーティーまで二週間切ったんだし、警戒は強めないとね。

　とはいえ、学園では私も普通に過ごさなきゃならない。
　杏くんから極力目を離さないようにしてはいるけれど、授業もちゃんと受けないと。

　今日は午前の授業を使って体力テスト。
　今までは力をかなりおさえていたけれど、今は護衛として来ているんだもん。
　わざとドジ踏(ふ)んだりなんてしたら護衛としての信用失っちゃうよね？

　とはいえ本気を出したら本当に人間離れしていることがバレちゃうから……。
　うん、半分くらいの力を意識すれば大丈夫かな？

「よーい、スタート！」

　五十メートル走の計測で先生が腕を振り下げると、私は心の中で『半分の力』とくり返して走り出す。
　うん、大丈夫。半分くらいには出来てるはず。
　ゴールすると、計測していたクラスメートが驚いた表情のまま固まってる。
　気になった周りの子たちも集まってきた。
　その中の一人が「え？　うそ⁉」と目をまん丸にしながら数値を口にする。

「六秒!?　中学生だよね!?」

　みんな八から九秒台だし、私が本気を出したら二秒台になっちゃうから良いところかな？
　予定していたくらいの速さで走れたことに満足したけれど、みんなはすごくさわいでる。
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