最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
「六秒台なんて、世界記録一歩手前みたいなもんじゃないか⁉」
「私護衛してるって言ったでしょう? それなりに訓練してるんだから、これくらい普通だよ」
「……護衛って、ホントだったんだ」

 驚くクラスメートたちの中からポツリとそんな声が聞こえてきて、これで少しは信じてもらえたかな、と笑顔になる。
 でもみんなと一緒に杏くんも驚きの表情をしているのはどうしてなのかな?
 杏くんは私がヴァンパイアだって知ってるよね?

 その後も立ち幅跳びやボール投げをしたけれど、全てにおいてみんなに驚かれた。
 終わるころには、みんなの目も変わっていて私はちょっとした人気者状態。

「すげぇ! どんな訓練したらこんな数値出せるんだ⁉」
「可愛い上に運動神経も良いなんて、望乃ちゃんカッコイイ!」
「えへへ……ありがとう」

 男子には純粋に称賛(しょうさん)されるし、香澄ちゃんなんてキラキラした目で見てくれた。
 ほめられすぎてちょっと照れるけど、やっぱり嬉しいな。

「望乃、ちょっと来い!」
「え? 杏くん?」

 みんなに囲まれている私を杏くんが突然腕を引いて連れ出した。
 なんだか焦っているような、怒っているような感じ。
 どうしたんだろう?
 校庭のすみにある木陰(こかげ)まで来ると、杏くんは複雑な顔をして私に向き直った。
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