最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
『今回の依頼、ただの護衛なのにどうしてハンター協会が正式に受けたと思う?』
「え? さあ……」

 そんなこと考えてなかったからわからない。
 でも、言われてみれば確かにと思う。
 学生の護衛が欲しくてヴァンパイアである私に依頼が来たのは分かる。
 でも、ハンター協会は基本的にヴァンパイアがからむ事件しか手を出さない。
 今回の場合、“正式”に依頼を受けるということはまずない。

『送られてきた脅迫文にね、コウモリと月のマークがついていたの。そのマークは、とあるヴァンパイアが(ひき)いる犯罪組織のマークなのよ』
「え? なにそれ、どういうこと?」

 犯罪組織なんて物騒(ぶっそう)な言葉が聞こえて驚く。
 そんな私にお母さんは『きっと契約を良く思わない人達がその犯罪組織に依頼したのね』と説明した。

『だから今回の依頼にはヴァンパイアがからんでくるかもしれないってこと。望乃はまだ他のヴァンパイアの気配とか感じられないだろうけど、少しでもおかしいって思う人がいたら知らせてちょうだいね』
「う、うん。分かった」

 大人になれば感じることが出来るらしいけれど、私はまだヴァンパイアとしても半人前だから他のヴァンパイアの気配なんて分からない。
 でもそういう事なら、もっと警戒しなきゃと思って了解の返事をする。

『【朧夜(おぼろよ)】っていう組織らしいんだけれど、まだまだ謎も多いらしいのよ。気をつけてね』
「うん、分かった。教えてくれてありがとう」

 心配してくれるお母さんにお礼を言って、私は話を終えた。


 ちなみにその後血液パックを飲もうとしたけど、マズくてはき出しちゃった。
 とりあえず、吸血衝動は始まってないってわかった。
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