最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
第12話 襲撃
 紫苑くんがぐずってしまったことで始まった私の着せ替えは、いくつかの写真を残して終わる。
 次の目的地である高級レストランに向かっている間も、車の中では柊さんがあの場にいなかった杏くんへ写真を見せていた。

「杏はどっちが望乃さんに似合ってると思う?」
「……そうだな、俺はこの紫苑が選んだ桜のドレスが望乃に合ってると思うぜ? 望乃の顔って少なくとも今は可愛いっていう方が強いと思うし」

 女の子のドレス姿の評価なんて出来るとは思わなかったけれど、杏くんはしっかり見ている。
 たしかに柊さんのドレスは着こなせるか自信なかったし。

「それに兄さん、望乃の大人っぽい姿も見てみたいって欲が丸出し。中学生なったばかりのやつにマーメードラインとか着せるか?」
「欲?」

 なんでそんな言葉が出てくるか分からなくて私は首を(かし)げる。
 どういうことか聞きたかったけれど、怖い笑顔になった柊さんが杏くんの顔をガシッと掴んでしまって聞けなかった。

「杏、ちょっと黙ろうか?」
「う……はい」

 ほほを引きつらせてうなずいた杏くんに、私はさらに首を傾げた。
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