最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
「常盤杏は誘拐させてもらったよ」

 まるでなんてことないとでも言うように、いつもと同じ軽そうな笑みを浮かべて梶くんは言う。

「もうわかってるんだろ? 俺がヴァンパイアだってことは。ハンター見習いのヴァンパイア・弧月望乃ちゃん?」
「なんで、知って」

 私がヴァンパイアだってことと、ハンターの見習いをしているってことをどうして梶くんが知っているのか。
 同い年の梶くんだって、気配を感じることはきっと出来ないはずなのに。

「なんでって……のんちゃん体力テストのときだって全然力隠そうとしてなかっただろ?」
「一応抑えてたんだけど……」
「あれじゃあ全然ダメだって。あれで抑えてるつもりなんて、おっちょこちょいでカワイイね」

 笑いながら言う梶くんは本気で面白そう。

「それに【朧夜】からの脅迫(きょうはく)文で君が護衛に来たってことは、ハンター協会の人――つまりハンター見習いってことだろ?」

 これくらい簡単な推理でわかるよ。とちょっと馬鹿にされた気がした。
 でもそれくらいで怒る私じゃない。
 今は杏くんの居場所を知ることの方が大事だ。

「じゃあ、私がただの中学生じゃないってことはわかってるってことだよね? ……杏くんをどこに連れて行ったの?」
「それ、教えると思う?」
「教えてもらうよ!」

 言うが早いか私は動き出した。
 クロちゃんはカバンの中に置いてきたままだったからちょっと心もとなかったけれど、ヴァンパイアとしての本気の力を出せばそう簡単に負けたりしないはず!
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