唯一の血である私はご主人様から今日も愛を囁かれています
「なら付き合ってないってことだよね?良かったぁ。このまま断られるんじゃないかって思ってたんだぁ」


「ちょっと待ってください。私、貴方と付き合うなんて一言もいってません。そもそも私は貴方の名前すら知りませんし。同じクラスじゃないですよね?」


「あ、ごめんごめん。僕は神宮(じんぐう)弥生(やよい)っていうんだ。佐倉さんとは隣のクラスだから名前を知らないのは当たり前だよ。でも、これから僕のこと知ってもらえたらいいし」


「……」


なんか、付き合う流れになってない?


早とちりもいいところというか……私、返事すらしてないんだけど。


「神宮くん。私、貴方と付き合う気はありません」


「どうして?」


「雷雨様のメイドとして、他の方と交流を深めるつもりがないからです」


「なんで?同い年として仲良くなりたいじゃん?なんなら、友達からでもいいし!」


「あまりしつこいと私も黙っていませんよ」


「それって雷雨くんと付き合ってるってこと?」


「だから違いますって」


しつこい。本当になんなの、この男。雷雨様は雷雨様でチャラいところあるけど、この神宮くんは別の意味で厄介すぎる。

普通、ここまで女の子に拒否られたら引き下がるんだけど。


雷雨様を知ってるなら、西園寺家のメイドに手を出すということがどれだけ危険かも理解してるはず。


神宮くんは一体なにを考えてるの?
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