ビターショコラ系幼なじみ彼氏の溺愛

あまりにも一瞬の出来事に、私はゆっくりと、離れていくヤツの顔を見つめることしかできなくて。

そう、私のファーストキスは、このようにサクッといただかれてしまったというわけ。

私を見下ろす満足気な夏希の顔に気がつくと、頬に熱が集まっていくのを感じた。

「な、夏希のバカ!待ってって言ったのに…!」 

ガバッと飛び起き、私は、警戒しながらヤツと一定の距離をとる。


「あのさ…。言っとくけど、バカは心春だから。つか散々人のこと煽っといて今さら警戒しても遅いんだけど?」


呆れたように、そう言い放つ夏希に私は目が点になった。


こちらとしては、全く煽ってるつもりはない。


「俺も男だよ?好きな女が近くにいれば触れたいし、キスだってしたくなる。お前が言うようにまだ付き合ったばっかりだし、なるべく心春のペースに合わせようと思ってこっちも気遣ってたんだけど…」


「…?」


「カレカノだから隣に座れだの。自分の部屋に無防備な格好で俺を呼ぶし…。どう考えても襲ってくれって言ってるようなもんじゃん」

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