星が代わりに泣いてくれるから

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丘の上が無料開放スペースになっている。ちらほら家族連れ、一人で見に来ている人達がそれぞれ双眼鏡や望遠鏡を持ってきている。一眼レフのとびきり重たそうなものを抱えて登ってくる人もいた。丘自体が広いので混みあうこともなく存分にそれぞれがスペースを確保していた。


目の前には湖があり、星空が湖面に写りなんとも幻想的だ。今日は月が見えていないからその分星がたくさん見えているのだろう。

入場の際、星の観察の注意事項が書かれたパンフレットをもらう。できるだけ丘の端に近いところに腰を下ろし寝っ転がった。下は芝生だが関係ない。本当はレジャーシートの一つくらいあれば良かった。大の字になって満点の空を見やる。

流れ星は未だ流れていない。左手を空にかざした。結婚指輪のダイヤがきらりと光る。

結婚式、両親は嬉しそうにしていた。昨今結婚する人が少ないから、と結婚してくれて嬉しいと言っていた。嫁入り前に理由を母に聞いた。
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