星が代わりに泣いてくれるから
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あの日から三年がたつ。以降レンと話す機会が増えた。
くだらないバラエティを一緒に見て笑うようなこともある。
バラエティの司会者が「お前らイケメンはムードなんか作らずとも彼女はできるんやろ」と八つ当たりのようなことを言った。そのイケメンと名指しされた俳優の彼は爽やかに笑って「ムードも彼女もどこでも作れるからこそ、彼女が僕との記念日が記憶に残るようにするために落としたい相手にはムード作るんですよ」と言って白旗を上げさせていた。
「たしかに記念日は記憶に残る方がいい。この俳優は正論を言っている」
とレンは腕組をして頷いていた。あんまりにも上から目線のような意見を言うもんだから噴き出した。
「なんでそう思うの?」
「俺たちの結婚記念日だって今では笑い話にできるじゃないか」
「あの時胃がキリキリしていても?」
「ムード満点な星空でお互い好き放題言うなんてなかなか強烈でいい思い出だ。じいさんになっても娘に言い続けるぞ」
あの日を彼の中ではいい思い出であると言ってくれてうれしくなる。
レンは機嫌がよさそうに私の大きく張ったお腹を優しく手のひらで撫でた。
今月が臨月で、性別は女の子だと言われた。
あの日流星が見れたこと、私は死んでも忘れない。
