星が代わりに泣いてくれるから


おい、もう飲むなって。とアダチがカワイの傍に駆け寄る。

カワイに同情した。セックスで文句を言われるのは男にとってプライドがずたずたになってトラウマを抱えるようなものだろうと。憐れんだ表情で彼らをみやれば、右隣のイシイは吐き捨てるように言った。


「正直こっちの反応も考えずに腰ふられるならやってる最中に乾くわ」


普段ふんわりしている事務員のイシイは女の子らしい柔らかな雰囲気を纏っている。イシイとカワイの仲はほどほどだと思うのだが、あんまりにも冷たい一撃を放った言葉が本当にイシイが言ったのか脳の処理は追いつかなかった。目が合うとイシイはにっこり笑った。いつもの笑顔だ。


「―――そう思いません?係長」
「あ、あぁ」


これは意見を求めていない強制的な同意である。
カワイを売るようで悪いがしっかりと頷く。イシイは気を良くしたのか缶ビールを一本あけ、一気に煽って言い募った。
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