17歳の秋、君と過ごした1泊2日。
やばい、甘すぎる、危なかった。


わたしは恥ずかしさからダッシュで階段を降りる。


みんな校庭に出て、ほぼ誰もいない状態の下駄箱でローファーを履きながら少し大きめの独り言をぽつり。


「なんか今日の優くん全体的に甘くない?もうほんと、これ2日間耐えられないって」


するとすぐ後ろから名前を呼ばれた。


「みゆさん」


「はい!?って委員長か。びっくりさせないでよもう」


シワひとつない制服をピシッと着こなし、左腕には黒の時計。
くりっとした二重の目に細い銀色フレームのメガネをかけている、背が高い男の子。


「それはこっちのセリフですよ、みゆさん独り言が大きすぎます。じゃなくて宮野くん知りません?」


「うわ、聞いてないでしょーね、わたしの大事な独り言」


「聞いてないです。だから宮野くん知りません?」


「優くんならさっき教室にいたよ」


「え、まだ教室にいるんですかあの人。遅。わかりました、みゆさんと桜さん先にバス乗っててくださいね」


そう言ってパタパタと走っていく委員長。


委員長、この2日間優くんのお世話係になりそうだなぁ...。


基本的に誰に対しても敬語なんだけど、結構ズバズバ言っちゃうタイプの委員長。
それがなんとも言えない面白さで、わたしのクラスでは人気者の学級委員長なの。


わたしは校庭に出て桜のもとへ駆け寄る。



...やばい、桜を待たせちゃってる。


「桜ごめんね遅くなった!」


「みゆちゃん遅。どうせ宮野 優とイチャついてたんでしょ」


「いやぁそれほどでも」


「褒めてない」


そんなことを言い合いながらバスに乗る。


わたし達がバスに乗って少し経ってから、優くんと委員長がやってきた。


こちらもわーわー言い合いながら乗り込んでおり、やっとクラス全員が揃ったわたし達は無事に出発することができた。
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