17歳の秋、君と過ごした1泊2日。
「え、まさかだけどみゆ寝てる?」


隣の席に座った優くんは口を開く。


「みゆ?」


「…」


「せっかくみゆの隣勝ち取ったのに。まぁでもこれから2日もあるし?別に寝ててもいーけどさ」


「…」


「ほんとに寝てんの?」


「…」


「…今起きたらちょっと怒るから」


優くんの顔が近づく。


ーーーカシャッ


スマホには、寝ているわたしと真顔でピースをした優くんのツーショット。


「これはホームルーム中ずっと僕のことを見てたお返し。てゆーか、あんなの気づかないわけがないでしょ、席隣なんだし」


そう言いながら真横を見る。


「……無防備」




ーーーバスに揺られること3時間。


「そろそろ起きろー」という先生の声が車内に響く。


わたし達を乗せたバスは、もうすぐ京都へ到着しようとしていた。
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