致し方ないので、上司お持ち帰りしました
7


 それからとんとん拍子で話が進み、数回の話し合いの末、真白さんのマンションで同居をすることが本決まりとなった。


 非常事態とはいえ、大胆な決断をしてしまったな。と今更ながらに思う。



 大きな家具等の移動は後日行うとして。泉さんのことが心配だからと、早速今日から真白さんのマンションに住むこととなった。


 1時間残業となってしまった私は、真白さんのマンションに向かっていた。今日は同居初日ということもあり、きちんと挨拶をしたい。真白さんは立場上、上司だ。待たせるのは気が引けて自然と早歩きになる。



 酔っぱらった真白さんを送った時に一度は入ったことがあるとはいえ、今は状況が違う。


 男女が同じ家で暮らす。緊張で胸が張り裂けそうだった。



 ――ピンポーン。
 部屋の前でインターホンを押した。



 ガチャっと重いドアが開かれると、真白さんが優しい笑顔で出迎えてくれた。



「お、お邪魔します……」

「おかえり」

「あ、ただいま……です」

「今日から、泉さんの家でもあるからね」


 優しい出迎えに緊張がほぐれた気がした。

 緊張がほぐれた理由はもう1つ。真白さんがエプロンを身につけていたからだ。紺色のシックなエプロンが似合っていて様になっていた。



「真白さん、エプロンするんですね」

「ちょうど料理してたからさ」


 男の人がエプロンをしている姿を見るのは新鮮だった。女の私ですら、料理をする時エプロンをしないのに。


 
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