クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
私の両サイドに座った翼君と
無愛想男……太郎さんを見比べる。
同じ男なのに、こうも違うとは。
店長の剛史さんは、私たちに名前の自己紹介をさせた。
翼君が口を開いた途端、私の胸はキュンってなる。
太郎さんが自分の名前を口にした途端、私はぎゅっと唇を噛んで笑いを堪えた。
「今回みんなには、この衣装でお客さんに飴を配ってもらいます」
テーブルの上に乗せられた段ボールには、トナカイの着ぐるみとサンタクロースの衣装が2着ずつ入っていた。
え~、こんな格好するの!?
ちょっと恥ずかしい。
「太郎はこの赤いエプロンを着けてレジに立って」
店長にバサッと渡された赤いエプロンを、やる気なさそうに受け取った太郎さん。
太郎さんと赤いエプロン?
その光景に、また吹き出しそうになった。