クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
「おい、どうした合田」
「こいつ、トナカイの格好したふざけた野郎がぶつかってきたんだ」
ぶつかってきた!?
そっちがぶつかってきたんでしょ!!
大柄男の連れの男性も酔っているようで、倒れ込んでる私を面白そうに見下ろした。
怖い。
だけどそれ以上に頭にきた!!
立ちあがって文句を言おうとした時、私の視界に子供の姿が映った。
だめだ、子供の前で話すことは出来ない。
それも酔っぱらい相手に文句を言うなんて……。
目を丸くして立っている女の子は、お母さんの手を握って私を見ていた。
も~、どうすることも出来ない。
だったら早くどこかに行ってよ、この酔っ払い!!
私の願いをあざ笑うかのように、大柄男は私の着ぐるみの肩を引き上げ、
私を雪の中へ投げ飛ばした。