クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~



「仲間のトナカイが酔っ払いに絡まれてるのを黙って見てろって言うのかよ!」

「太郎!? ……おまえ、なんで」

「子供にそんなところ見せられないだろ!
困っている仲間がいたら助ける、それって当たり前のことだろ!」

「だから……おまえがなんで」

「はっ? ああ、あいつ……バイトの子ならもういないよ。
急用ができて帰った。バイト代は俺が払っといたから」



二人の会話を黙って聞いていた私は、

翼君がもういないという言葉に、なぜだかすごくほっとした。



翼君はきっと彼女のところに行ったんだね。


なのに、ショックじゃなかった。




「おまえはどうしていつも勝手なんだよ……」


呆れた声で太郎さんに言った店長は、目の前で大きな溜め息をついた。


そんな店長を前にしても、何も動じない太郎さん。



私はそんな太郎さんがなんだか可笑しくて、唇を噛んだ。






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