クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
店長が机の引き出しから茶封筒を取り出して言った。
「二人ともこのままあがっていいから」
あ……やっぱりクビってこと?
「はい、三日分のお給料。
お疲れ様でした」
「あの、最後までやらせてもらえませんか?」
いくらバイトでも、責任をもって最後までやらせてほしい。
そんな思いで店長の顔を見上げると、
店長は優しく微笑んで口を開いた。
「もう十分だよ。風邪ひいてるのに、よく頑張ってくれたね。
太郎の給料で温かいものでも食べて帰って」
「なんだよ、それ」
「いいな? 太郎。これは兄貴からの命令だ」
脹れた顔の太郎さんを見てにっこりと笑った店長は、
私と視線を合わせた後店内に戻って行った。
「たくっ、勝手なのはどっちだよ……」
椅子に腰を落とし、溜め息まじりにぼやいた太郎さんは、
机に肘をのせて頬杖をついた。