クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
二人っきりになった狭い事務室。
急に胸の中がドキドキして、
太郎さんの方を見れない。
そんな私に、太郎さんが口を開いた。
「何喰いたい?」
「えっ? 」
「兄貴の命令だからおごってやるよ」
「いっ、いいですよ! せっかくの給料を使うなんて」
「あっそう? じゃあやめとくわ」
「えっ! やめちゃうの!?」
慌てて太郎さんの顔を見上げた私と太郎さんの視線がぶつかり、
なぜか私の胸がドキンって音をたてた。
やだ、なんか顔が熱くなってきたかも……。
頬に手をあてた私を見て、太郎さんがいたずらに笑みを見せて言った。
「素直に言ったら?」
え……?
私は太郎さんの瞳から目が離せなくなった。