あの子、溺愛されてるらしい。
「中條さんは大丈夫ですか?知らない人と急に噂になって困ってますよね。」

「いや、俺は…大丈夫。」



人見知りなのか中條さんはずっと下を向いていて全然目が合わない。噂されている私といるのが嫌なのかもしれないし、もう行こう。



「噂はきっといつか収まりますよね。それまでは頑張らないと。じゃあもう行きますね。」



彼が頷いたのを見て私は佐野先輩と話していた乃々佳の肩を叩いた。



「乃々佳行こう。お昼食べなきゃ。」

「そうだね。先輩たちさよならー。」

「もう行っちゃうの?梨央ちゃん、乃々佳ちゃんまたねー!!」



先輩たちにペコっと頭を下げて私と乃々佳はその場を立ち去った。


ベンチに座ってお昼を食べながら先輩たちのことが話題に上がった。



「あの人が中條栄斗だったんだね。梨央、やっぱり見たことない?」

「うん。知らない人だった。」

「そっか、だよね。本当にあの噂は何なんだろうね?先輩たちも原因がわからないみたいだし。」

「うーん…。」

「そういえば佐野先輩、いじめられてるわけじゃなかったんだね。」

「あ、そのこと忘れてたね…。ふふふっ。」



原因が何にしろ早くこの一件が終わってほしい。前のような平穏な毎日に戻りたい。そう思った。


< 9 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop