完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!

 一週間前――。久しぶりに高峰医院に顔を出した私は、きょとんとした。

「どうしたの? これ」

 見たことない機械が見える。いや、形は似てるけどピカピカだ。
 今年の健康診断で、会社と提携している綺麗な大きな総合病院で見たものにそっくり。

「内視鏡とエコーが壊れてさ。そのとき、ずっと出入りしてくれてた医療メーカーの人が熱心に新型の機能を説明してくれて」
「まさか……」
「買ったんだ。八百万」
「八百⁉」

 素っ頓狂な声が出た。
 八十万ならまだしも八百万って……!

 目のくらむような金額だ。

「叩いて治らなかったの⁉」
「昔のレンジじゃないんだよ?」
「せめて買う前に相談してくれても……」
「でも、ローンでどうにでもなるって営業さんが」
「ローンって! 契約書見せて!」

 兄レベルの貧乏医師が気軽にその額を借りられるなら相当利息があるローンのはず。
 しかも――。

 細かい字の契約書を見て、ある部分で目が留まる。
 担保として、ここの土地が入ってる。

「これ返せなかったら、病院売ることになるよ⁉ だって土地が担保じゃん。土地取られたら病院続けられないじゃん!」
「わかってるよ。でも大丈夫、ゆっくり返せばいいわけだし」
「今、貯金いくらできてるのよ!」
「赤字なのに貯金なんてできるはずないよ」

 頭が痛い……! どうして貯金できない人が借金返せると思ったのよ⁉
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