完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!
「大河さん。もしかして、知ってたんですか?」
「何を?」
「いえ……」

 言うつもりもなかったこと。
 でも、大河さんは知ってるんじゃないかと思った。それでこんなふうに再会させてくれたんじゃないかって。
 ふいに鼻の奥がツンとなる。

「私、怒ってたんですよ。大河さん、金銭感覚変だし、その上騙されてたし……」
「すまない」

「でも奈央ちゃんの幸せそうな顔見たら、怒ってたの忘れちゃったじゃないですか。……ありがとうございます、大河さん」

 こんな嬉しい話、悪いことが全部帳消しになるに決まってる。
 なんなの。めちゃくちゃ狡い。

 大河さんが私を抱きしめるのを見て奈央ちゃんは微笑み、「先にいってますね、またあとで」と部屋を出て行った。
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