キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
考えなければならないことが多すぎて、頭がパンクしてしまいそうだ。


「……葵、お茶。お父さんも」

「あぁ。ありがとう」


帰って来るなりソファーに腰かけ、新聞を見ている父。
きっと、父にも思うことがあるはずだ。

病気のこと、治療のこと。それから今後のことも。

聞きたいけれど、どう切り出していいのかわからないでいるようだ。
普段は口数が多い母ですら、今はあまり話さない。


「そういえば葵。さっきの主治医の先生の話……」


いつもより静かな空間で、母が口を開いた。

きっと、ナースステーションの前で五十嵐先生が言っていたことに関してだろう。
父も新聞を折りたたみ、お茶を一口啜った。


「どういうことか、説明してくれないか?」

「あれは、あの言葉通りの意味よね?」


両親は、次々に質問してくる。
こんなに質問攻めにされてはもう、最初から説明せざるを得ない。

本当は、両親には五十嵐先生との食事の後に話そうと思っていたけれど、仕方ない。


「実はね……」


深呼吸をしてから、私は入院中の出来事を両親に話した。

五十嵐先生に告白されたこと。
それから、今の自分の想い。

入院中1人でひたすら悩んでいて、自分の中での応えはもう出ている気がする。
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