キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
病気に対する思いも、五十嵐先生に対する想いも、全部ーー。
あとはそれを、土曜日に話すだけだ。


「……葵はそれで、後悔しないか?」

「うん、しないよ」


ちゃんと応えなきゃ。


「まだ、考え直せるわよ?」

「私の人生だよ。私が自分で決めたいの」


私の出した応え。

時には〝自分勝手だ〟と言われてしまうかもしれない。


それでももし、命に期限があるのなら。
『あのとき、違う選択をしていればーー』なんて、後悔はしたくない。

『いい人生だったよ』って、笑っていたい。


「そうね……お父さんもお母さんも、葵が自分で決めたことなら反対しないわ」

「うん。ありがとう」


いついかなるときも、こうして私の考えを尊重してくれる両親。

この先、生きることが許されるのであれば。
2人のような、心の広い人でありたい。


「それでね、今週の……」


……ピンポーン

今週の土曜日のことを口にしたとき、それを遮るかのように玄関のチャイムが部屋に響いた。

母が立ち上がり玄関に向かうと「お母さん!」と聞き覚えのある声が聞こえる。
私もその声に反応して、ソファーから立ち上がり玄関に向かった。


「あ……葵っ!!」

「お姉ちゃん……」


玄関に立っていたのは、私の2つ年上の姉、成海(なるみ)

私の顔を見るなりパンプスを脱ぎ捨てて家に入ると、勢いよく抱きしめられた。
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