愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
「美波がふたりのあとをこっそり追いかけてたらしいの。ラブホの前でいよいよマズイってなって警察を呼ぼうとしたときに、真誉の知り合いっぽい男性が助けに入ってくれたって。……それって、北斗さんだよね?」

私は苦笑して頷く。優多さんは複雑な表情で嘆息した。

「ごめんね、怖い思いさせて。美波もかなりショック受けてたみたい。二度とアイツには女の子紹介しないし。ていうか、もう二度と会わないし!」

嫌悪感をたっぷり込めて言う。彼女だって、三津屋さんを信頼して友人を紹介したわけだから、裏切られた気分なのだろう。

「十倉の方は見ての通り真面目だから、女性に乱暴な真似はしないと思うんだけど……」

「うん。でも、次のお誘いはお断りしちゃったの。付き合おうって気分にはなれなくて。……ごめんね」

「なんで私に謝るの?」

「優多さんの顔を潰しちゃったかなって」

「関係ないない! 付き合う付き合わないは当人の勝手! っていうかむしろ、微妙な男紹介して謝りたいのはこっちの方だし。それに――」

優多さんが腕を組んでうんうんと頷く。

「北斗さんにピンチを救ってもらった直後に、ほかの男と付き合おうなんて気分にはならないでしょ」

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