愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
玄関で白いスニーカーを履き、シューズラックに備え付けられている全身鏡で身だしなみをチェック。

「よし、オーケー」

身長一六〇センチ、体重は秘密だけど、どちらかといえば細身。

仕事を始めて以来、ずっと同じ体型をキープしているのは、体重が増減したら自分が考案した美ボディレシピの説得力がなくなってしまうから。

美肌を謳ったメニューもあるから、お肌のコンディションにも気をつけるようにしている。

私は決して美人ではないけれど、健康的な体型と肌艶にはちょっとした自信があるし、太めの眉にちょこんとした目、口角の上がった口は、そこそこ愛嬌があるのではないかと思っている。

よくイタチ顔とかタヌキ顔と言われる。褒められているのかどうかは微妙だけど、女性に好かれる顔だね、と友達に言われたときは嬉しかった。

同性に好いてもらえるなら十分だ。

異性――北斗さんには、全然響かないみたいだけれど……。

昨夜の出来事が脳裏をよぎり、ぶんぶんと首を横に振る。

いいのだ。あれはもういいのだ。忘れよう。

「行ってきます」

仏壇の兄に向かって大きな声で挨拶して家を出た。

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