愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
あの事故で北斗さんは母親を亡くしている。助け出されたものの、火傷の状態が酷く、病院で息を引き取ったのだ。

やるせない気持ちになって、ぎゅっと手を強く握りしめる。

「俺は遊真のように、純粋にレスキュー隊員に憧れていたわけじゃない。母を助けられなかった彼らに、憎しみすら抱いていた。俺のような人間を増やしちゃいけない、そう思って今ここに立っている」

寂しげな彼の目を、呆然と見つめた。

兄と北斗さんは似ているようで全然違う。

ヒーローに憧れ、まっすぐな気持ちでレスキュー隊員になった兄。

反対に、人々を悲しませたくない、そんな使命感に駆られ、追い詰められるようにレスキュー隊員になった北斗さん。

「ほかの誰かが助けられなくても、俺なら助けられるかもしれない。だから救助の仕事を選んだ」

その決意は重く堅い。決して揺るがないものなのだと感じ取った。

北斗さんが私の背中に手を回す。ゆっくりと引き寄せられ、大きな腕に包まれた。

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