愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
だがどんなに険しい状況を想定しても、生と死が交錯する現場から無事に帰ってこられる保証はない。

「妹が大事だからこそ、信頼できるヤツにしか任せたくないっていうかさ。真誉も北斗に懐いてるし、適任かと思って」

「……なにかあったら、お前の代わりに面倒見てやる。それでいいか?」

真面目に答えてやったのに、遊真はええーっという顔をする。

「お前、あんなにかわいい女の子を任されて、兄代わりで満足できるのか? それでいいのか?」

なにを言わせたいのだろう、こいつは。

「真誉ちゃん、まだ十代だぞ。まさか、嫁にもらえだなんて恐ろしいこと言わないよな?」

「もうすぐ二十歳だ。絶対美人になるし、優しいし、いい子だし、料理もどんどんうまくなってる。このハンバーグだって真誉が俺たちのために作り置いてくれたんだぞ? こんな健気な子がほかにいるか!?」

うっと呻いて、皿に載っている食べかけのハンバーグを見つめる。

俺を家に招くと聞いて、昨夜のうちに作っておいてくれたらしい。

学業で忙しいだろうに兄やその友人のことまで気遣ってくれる優しい子だ。

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