愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
起き抜けのせいか、目もとがちょっぴり気だるい。

髪は普段よりエアリーで、それはそれで様になっている。もとがいいので、どんな髪型だって似合ってしまう。

「真誉は仕事、休みなんだろう? 朝早く付き合ってもらって悪いな」

低く伸びやかで、どこか甘みの感じられる声。

逞しい体格とは裏腹に、口調も顔立ちも中性的で繊細な美しさを宿している。

幼い頃から近くにいるから、客観的な評価はできないけれど、私の目から見ても彼はかなりカッコいい。

兄が『あいつはやばいくらいモテる』と力説しているのを聞いたことがある。

兄だって学校では明るくてスポーツ万能で、女子から人気があったのに、北斗さんとは比べものにならなかったそうだ。

「好きでやっていることだから気にしないで。それに、今日はこれから店に顔を出す予定なの」

私が働く店は定休日なのだが、お客様がいないからこそできる仕事がある。

「このあと、優多(うた)さんと秋の新作メニューの打ち合わせがあるんだ」

優多さんは大学時代の友人。私の働くカフェのオーナーをしている。

「休日も仕事か? ご苦労様」

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