敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
「どうされました?」

「未希があまりにも綺麗で見惚れていた」

 不安になって問いかけると、ストレートな言葉が返ってきて咄嗟に反応に困った。すると隼人さんは笑みを浮かべ、私のベールに軽く触れる。

「誰かと人生を共に歩みたいと思えるなんて未希と出会うまでは考えたこともなかった。未希が俺を変えてくれたんだ。こんな可愛い花嫁と結婚できる俺は、世界一の幸せ者だよ」

「そ、それは私のセリフです!」

 隼人さんと出会って、私は変わった。変われたの。誰かに深入りするのがずっと怖かった。期待しないように、傷つかないようにと自分を守ってきた。

 でも隼人さんを好きになって自分よりも相手の幸せを願う気持ちを知った。そのためならなんだってできる。それは隼人さんが私を大事にしてくれるからだ。

「これからもずっとそばにいてください」

 そんなふうに自分の思いを素直に口に出せるようになった。伝えられる相手がいる。

「もちろん。未希が嫌だと言ってももう離さない。未希は未希まま俺のそばにいてくれたらいいんだ」

 泣くのにはまだ早い。扉の向こうからオルガンの音色が聞こえ、私は隼人さんの腕にそっと手を添えた。そろそろ時間だ。

 優しい笑みを浮かべる彼を見て、私も微笑む。迷ったり、落ち込んだりしてもこうやって隼人さんが隣にいてくれたら全部乗り越えていける。

 ゆっくりと扉が開き、私たちは前を向いた。隼人さんと歩いていく未来に胸を高鳴らせながら私は今、幸せの一歩を踏み出した。

Fin
< 197 / 197 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:304

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
神様なんていない。大事なものを私から平気で奪っていくし、いくら祈っても結果は変わらない。だから期待せずに現実を受け止めるしかないんだ。 「自分の人生なんだ。選ばれる側でいるな。選ぶ側でいろ」 傲慢で、冷たくて、他人にまったく興味がない。自分のことさえも。 彼とわかり合えることなんて絶対にない。 私の存在は彼にとって迷惑以外のなにものでもない。 それなのに―― 「面倒じゃない、迷惑じゃない。小夜のことなら」 不意に真面目な顔で呟くから、勘違いしそうになる。 私はただのお飾り妻なのに。 彼が私と結婚した理由も別れる前提なのもわかっている。 最初からなにもかも釣り合わない。 「どうしたら俺の妻でいてくれるんだ?」 2026.8.14 公開&完結 ベリーズ文庫10月刊で書籍化予定です。こちらは改稿前のものになります。 書籍版ではヒーロー目線を随所に書き下ろしています。 ヒーローの医師としての働きぶりやヒロインに対する想いは書籍版でお楽しみください(^^)
世界一の××を君に

総文字数/10,167

恋愛(ラブコメ)1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
桂木美都(かつらぎみと) (25) × 千島誠一郎(ちしませいいちろう) (28)
表紙を見る 表紙を閉じる
ふと彼と出会って前の人生を思い出しました。 私は前世で男装勇者 彼は宿敵、魔王だったことに。 ちょっと待ってよ、普通は異世界転生とか転移とかそういうもんでしょ。 なんで異世界から現代なの。それ、どこの層に需要あんの? 「だったら、俺をその気にさせてみせろよ」 生まれ変わっても彼は容姿も性格も魔王のままです。 腹黒さもカリスマ性も健在で、しかも大学教員とか偉そうな立場です。 自分の運命を呪うしかありません。魔王と関わるのはごめんです。 いつも余裕たっぷりで、人を見下してからかってばかり。 嫌いで、憎むべき相手で、けっして彼とは……。 「会いたくなかった、思い出したくなかった」 「……そうか」 「とりあえずさー。世界も平和なんだし、ふたりともちょっとは素直になってみたら?」 前世のしがらみで素直になれないツンデレ不器用ヒロインと 前世も現代も溺愛の伝わらない不憫なヒーローを全力でニヨニヨするお話。 初出:ノベマ! 2020.9.30~2021.4.16  野いちご・ベリーズカフェ転載 2025.10.1~

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop