敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
それはこの際、しょうがないのでは?と言いたくなるのをぐっと堪える。
誤解させてしまった原因は私にもある。イレギュラーの頼まれごとだったとはいえ、いつもの制服ではなく私服で来てしまった。
しかも、社長が美奈子さんに家事代行業者の話をしているのだと思い、きちんとこちらの立場を名乗らずにいた。
「で、でもこんな嘘すぐにばれますよ。なにより嘘はよくないです」
最後は自然と非難めいた口調になる。しかし社長は軽く鼻を鳴らした。
「へぇ。なら君は嘘をついたことがないのか?」
彼の切り返しに私は固まる。そう言われると私はもうなにも言えない。押し黙る私に、社長はすぐに気まずそうな顔になった。
「悪い。勝手なことを言っているとは思っている。沢渡さんの事情も汲まずに。付き合っている相手にも申し訳ない」
「そういう方はいませんが……」
律儀に返して、ハッとする。ここはあえて訂正しなくてもいい場面だ。私のプライベートなど彼に伝える必要はまったくないのに。
どういうわけか社長は目を見張ってじっとこちらを見たあと、ふいっと視線を逸らした。
「巻き込んで申し訳ないとは思っているが、今だけでかまわない。どうか話を合わせてくれないか?」
打って変わって懇願めいた言い方に私の心は揺れる。
「今だけ……ですか?」
「ああ。なんなら仕事として受け取ってくれたらいい」
〝仕事〟という言葉に少しだけ冷静になる。あくまでも私は彼に雇われている立場だ。ならここは、彼の意向を大事にすべきだ。下手に正義感を振りかざして、美奈子さんに真実を告げるのが正しいとは限らない。なにより社長が望んでいないのだ。
誤解させてしまった原因は私にもある。イレギュラーの頼まれごとだったとはいえ、いつもの制服ではなく私服で来てしまった。
しかも、社長が美奈子さんに家事代行業者の話をしているのだと思い、きちんとこちらの立場を名乗らずにいた。
「で、でもこんな嘘すぐにばれますよ。なにより嘘はよくないです」
最後は自然と非難めいた口調になる。しかし社長は軽く鼻を鳴らした。
「へぇ。なら君は嘘をついたことがないのか?」
彼の切り返しに私は固まる。そう言われると私はもうなにも言えない。押し黙る私に、社長はすぐに気まずそうな顔になった。
「悪い。勝手なことを言っているとは思っている。沢渡さんの事情も汲まずに。付き合っている相手にも申し訳ない」
「そういう方はいませんが……」
律儀に返して、ハッとする。ここはあえて訂正しなくてもいい場面だ。私のプライベートなど彼に伝える必要はまったくないのに。
どういうわけか社長は目を見張ってじっとこちらを見たあと、ふいっと視線を逸らした。
「巻き込んで申し訳ないとは思っているが、今だけでかまわない。どうか話を合わせてくれないか?」
打って変わって懇願めいた言い方に私の心は揺れる。
「今だけ……ですか?」
「ああ。なんなら仕事として受け取ってくれたらいい」
〝仕事〟という言葉に少しだけ冷静になる。あくまでも私は彼に雇われている立場だ。ならここは、彼の意向を大事にすべきだ。下手に正義感を振りかざして、美奈子さんに真実を告げるのが正しいとは限らない。なにより社長が望んでいないのだ。