敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
「隼人は今日、玩具業界の交流パーティーに参加しているのよね?」

「あ、はい」

 シャッツィをはじめとする玩具業界に携わるメーカーや製造会社などが一堂に会し、自社の商品のPRや業界の動向をまとめたプレゼンなど行い、交流しながら業界全体の売り上げの向上を目的としている。

 隼人さんはシャッツィの社長として今日はそちらに参加していた。

「未希さん、よかったら今から一緒に行かない?」

 一緒にお茶しない?と同じニュアンスで美奈子さんが告げたので、どこを指しているのか、とっさにわからなかった。

「昼過ぎからだから、まだ大丈夫よね。夫宛に招待状が来ていたから持ってきたの。隼人の仕事ぶり、見に行きましょうよ」

 どうやら美奈子さんは冗談ではなく本気で言っているらしい。とはいえその提案に乗るわけにはいかない。

「で、ですが私は契約社員なので、今日の会に出席する権利は」

「平気よ。未希さんは隼人の、社長夫人なんですもの。遠慮する必要はないわ。私も元社長夫人として、それなりに顔が利くから心配しないで」

 そういう問題ではない気がする。美奈子さんはともかく私が行くような場所ではない。なによりパーティーに出席するためにはそれなりの装いが必要だ。

「さっ、ここはもうでましょう。未希さんに似合うドレスを買いに行かなくちゃ」

 私の心の内を読んだかのように美奈子さんは私の手を取った。どうやら最初から私に拒否権などないらしい。

 どうなるのかと不安を覚えながら美奈子さんについていくしかなかった。
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