相思相愛・夫婦の日常~カナ♡ネオ編~
それでも小学校を卒業すれば“対等”に見てくれると思っていた。

中学生になり、初めて奏弟は嶺音に告白をした。

『ネオちゃん、俺、ネオちゃんのこと大好き!
俺の彼女になって!』

背が順調に伸びていた奏弟は、この時には嶺音の身長にあと数センチで並ぶ程になっていた。

真っ直ぐ嶺音を見て、想いを伝える奏弟。
『ごめんね、カナは弟なの。
恋人にはなれないよ』


振られた━━━━━━━


でも、諦められるわけがない。
それからも、何度も何度も告白をした。

“カナは弟なの”

この言葉で、毎回振られる。

奏弟は“弟”という言葉が、大嫌いになった。


途方もなく告白を繰り返した、高校二年の秋。

『━━━━━ネオちゃん、いい加減俺に落ちてよ!!』

『………』

『ネオ…ちゃん?』
嶺音の様子が明らかにおかしい。

『カナ』

『ん?』

『どうしてカナは、そんな風に綺麗なの?』
嶺音の目から、涙が溢れていた。

嶺音の涙を見たのは、この日が初めてだった。

『え?ネオちゃん、どうしたの?』


嶺音の話では━━━今交際している男性がいて、その彼に“奏弟を絶て”と言われたとのこと。

奏弟と嶺音は、姉弟として出掛けることがよくあったからだ。

彼の言ってることは、わからないわけではない。
確かに、おかしいのかもしれない。

奏弟は“本当の弟”ではないのだから。

確かに嶺音からすれば、奏弟は大切な人。
でも、恋愛感情はない。

なのに、それを彼は信じてくれない。

“嶺音も下心があるに決まってる”
そう、決めつけられたそうなのだ。

嶺音は、真面目で真っ直ぐな人間。
恋人がいて、他の男に目移りすることなんてないに等しいのだ。


『━━━━それで、別れたの…
彼にいわれたこと、わからなくもないし』
泣きながら話す、嶺音。

『そっか』

『ごめんね。
こんなこと、カナに話すなんて間違ってる。
でも……カナがあまりにも真っ直ぐだから……!』

『ううん』

『ごめんね、カナ。
私はね。
やっぱり、カナのこと…男として見れない。
私の中では、まだ小さな子どもなの』

『…………わかった。
でも、諦めない!!
ネオちゃんが、男として見てくれるまで絶対に!』
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