失恋百回記念日
だが、大抵の男性は美咲の職業を聞くと「やっぱりお付き合いはちょっと……」と言われてしまう。女性の看護師は異性から憧れられるものの、医者という職業は女性だと何故か壁を作られてしまうのだ。

それでも結婚相談所のスタッフが頑張り、美咲に合いそうな人を見つけてはお見合いをセッティングしてくれた。相手は美咲と同じ医者だったり、会社の役員だったり、エリートと呼ばれる人たちばかりである。美咲はいつも緊張を覚えながらお見合いに挑んでいた。

「折山さんは休日は何をされているんですか?」

「読書をしたり映画鑑賞をしたりしています」

お見合いは最初のうちは順調に進んでいく。だが、二回目のデートや結婚の話になると大抵男性は逃げて行ってしまうのだ。

「結婚後の生活についてですが、折山さんはどんな風に過ごしたいとかありますか?」

今日のお見合いでも相手にそう訊かれ、美咲は素直に自分の思っている考えを伝える。

「私、仕事を続けたいので家事などは二人で分担したいです。あと、いつかは自分のクリニックを開きたいなと思っています」
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