振り返って、接吻


「わたし、由鶴のことなんでも知ってるよ」

「だろうね」


「でも、ゆづはわたしのことを何も知らない」



宇田はいつも、少しだけ先を歩いている。

ふたりが向き合うことなどめったになくて、ただ、俺だけが後ろから、ずっと静かに見つめていた。


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