振り返って、接吻

第2話





じぶんの価値をだれかに与えてもらいたいとき、ある?
わたしは、ある。


わたしを見つめてくれる瞳を、ほかの誰かに向けないでほしい。
わたしのことを称賛した声で、ほかの誰かを褒めないでほしい。
わたしを求めて伸ばした手を、ほかの誰かに差し出さないでほしい。


屈折している自覚はある。深月由鶴といううつくしい幼馴染に対して、わたしは歪んだ独占欲を抱いている。


< 96 / 207 >

この作品をシェア

pagetop