妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
 魔力というものは、血によって受け継がれると聞いている。
 しかし、王族に生まれる者達は平均以上の魔力はあるが、それでも特筆したものはいない。そのため、この婚約が本当に意味のあるものかどうかは少し疑問なのである。
 ただ、それは私にとってはどうでもいいことだ。特に気にすることではない。

「そういえば、フェルーナ。妹さんが来ているよ」
「妹が?」
「ああ、君を訪ねて来たらしい。特に連絡はなかったのかい?」
「ええ、ありませんでした」

 グラッセン様の言葉に、私は少し驚いていた。
 私には、妹が一人いる。名前は、ホーネリアという。

 だが、彼女が訪ねてくるというのは非常に奇妙なことである。
 はっきりといって、私は妹と仲が良くない。彼女は、私に何かと突っかかってくるため、不仲なのである。
 そんな彼女が、どうして私を訪ねてくるのか。それが、私には理解できない。
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