妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
 アグナヴァン様は、明らかに狼狽えていた。
 私が言ったことが、余程信じられないようだ。
 そんな様子は、少しおかしかった。しかし、笑っている場合ではないだろう。私の意図を彼に伝えなければならない。

「アグナヴァン様は、私を妻にしたいと思っているのですよね?」
「ああ、それはもちろんそうだが……」
「あなたは、どのようなことがあっても私を妻にすると言っていました。そして、私はそれに乗ることにしたのです。なので、私も覚悟を決めたのです」
「か、覚悟……」

 私は、アグナヴァン様にゆっくりと伝えた。
 その説明に、彼は考えるような表情をする。少し頬が赤くなっている気もする。
 もちろん、私の言う覚悟にはそういった意味も含まれていない訳ではない。ただ、やはりこうやって実際に反応をされると、私の方も少し緊張してしまう。
 とはいえ、私も自分で言ったことを引っ込めるつもりはない。覚悟を決めて、この部屋へと踏み込むつもりだ。

「……わかった。それなら、俺もその覚悟に応えなければならないな」
「……はい」
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