妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
 私は、アグナヴァン様と一晩同じ部屋で過ごした。
 とはいっても、別に何かあったという訳でもない。二人で色々と話しながら、眠りについただけである。
 とはいえ、緊張していたのは事実だ。そのせいで、睡眠不足という訳ではないが、しばらくは眠れなかった。

 そんな夜が明けてから、私達はドルマニア王国に向かっていた。
 旅は順調に進んで行ったため、私達は既に王国のすぐ近くまで来ている。

「む……」
「これは……」

 私とアグナヴァン様は、馬車の窓から見える光景に驚いていた。
 ドルマニア王国の王都になる大樹は、国全体に広がっている。だが、微妙に国外にも伸びているのだ。
 つまり、その大樹の影響は王国の周辺の国外にも及んでいる。それを私達は、実際に目にしているのだ。

「草木が枯れ果てている。なんということだ」
「……ええ、わかっていたことではありますが、ここまでひどいものなのですね」
「ドルマニア王国は、大樹の力によって農業が盛んだったはずだ。それがこのように失われているという現状は、かなりまずいものだな……」

 アグナヴァン様の言う通り、ドルマニア王国は豊かな大地のおかげで栄えた国である。
 そんなドルマニア王国は、今未曽有の窮地に立たされているといえるだろう。私のことを受け入れたのも、そう言った面が影響しているのかもしれない。
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