妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
 先生の言っている通り、大樹の分析は必要なことだろう。
 大樹の一部が完全に破壊されている場合、今まで通りとはいかない。それは、確認しておかなければ今後困ることだ。

「パストマン教授、あなたも休むべきでしょう」
「私は問題ありませんよ。フェルーナ嬢に比べれば、疲労していませんから」
「その顔色で、大丈夫だとは思えません。三十分でもいい。休むべきです」
「おやおや……」

 アグナヴァン様は、先生のことも心配していた。
 彼は、中々に心配性である。それは、私だけではなく全ての人に向けられるものであるようだ。

「スウェンド王国の王子様は、慎重派のようですね……」
「む?」
「ええ、実はそうなんです」
「フェルーナ殿?」

 私と先生は、顔を見合わせて笑い合った。
 アグナヴァン様は、本当に優しい人である。それを実感したからだ。

「仕方ありません。ここは、あなたに従うとしましょう。私も倒れてしまう訳にはいきませんからね」
「え、ええ……」

 先生の言葉に、アグナヴァン様は少し腑に落ちていないといったような表情をしていた。
 恐らく、先程の笑みの理由がわかっていないからだろう。
 こうして、私達は大樹の浄化を成功したのだった。
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