妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
「もしかしたら、本は明確に意思を持っているのかもしれません」
「意思? それは、どういうことだ?」
「自ら動き、自らの意思を持って誰かを闇の魔力で汚染する。そんな性質であると考えられるのではないでしょうか?」
「……確かに、あり得ない話ではないか」

 私の言葉に、アグナヴァン様は考えるような表情を見せた。
 この推測は、あり得ないものではないと思っている。自ら動くならば、意思を持っていてもおかしくはないだろう。

「実の所、私はこう思っているのです。ホーネリアは、何者かが闇の魔力によって操られているのではないかと」
「何?」
「え?」

 そこで、私はとある推測を述べてみることにした。
 それは、ホーネリアがこのようになってからずっと考えていたことである。

「ホーネリアの豹変は、とても突然でした。闇の魔力は、確かに凶悪なものですが、そこまで迅速に侵食するものではありません。ですから、本の意思がホーネリアを汚染したと考えられるような気がするのです」
「お姉様、それは……」
「……状況的に考えると、それもおかしいとは言い難いか」

 ホーネリアもアグナヴァン様も、私の推測にはかなり驚いているようだった。
 これが真実であるかどうかは、正直私にもわからない。とにかく、私達は今回の事件の元凶ともいえる本を見つけ出さなければならないだろう。
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