弁護士は相談料として愛を請求する

「はあ?誰に言ってんの?すずに言わないとダメじゃん」

「『うーん、何?……うるさいな、志穗。どうしたの?』『あれ、起こしちゃった。ごめんね……』」

「おい、すずに代わってくれ!すず、俺だ。迎えに行くから待ってろ」

「『え?何?』『はい、すず。あんたに電話』……もしもし?」

「すず、俺だ」

「……のん。うそ、どうして……のん、ううう……」

「おい、どうした、すず?すぐに行く。泣くな、俺が助けてやる、待ってろ」

 俺は電話を切ると急いで車のキーを持って下へ降りた。木村さんのマンションはなんどか行ったことがある。すずを送り迎えに行ったことがあるのだ。

 すずが泣いている。俺はアイツを泣かせないために今まで色々なことからアイツを守ってきたんだ。待ってろ、すず。すぐに行く。

 やはり、今思えば、すずのことになると俺は理性を失っていたかもしれない。決心して彼女の元へ向かった。
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